4-2-3-1 サッカーを戦術から理解する(杉山茂樹)
TV中継でサッカー代表戦(だけ)を観て翌朝のスポーツ新聞を読むような人にこそ読んでもらいたい解説本。通常語られるFW, MF, DF, (GK)というポジションに基づき3ラインで4-4-2や3-5-2と分類するだけでは説明しきれないような戦術を構成するシステムの意味が解説されているので、読後にはTV観戦でも見所が変わってくるしスタジアムへ足を運んで俯瞰で一望したくなる一冊といえる。
フォーメーションを現在一般向けのメディアが使用する3ラインではなく世界標準の4ラインで解説しているところがまず第1のポイント。そしてポジション別に横方向に展開する3ライン表記に対してサイド攻撃を軸に縦方向へ展開するイメージが明確に見て取れる4ライン表記を元に名勝負をシステム面から分析しているのが第2のポイント。
日本のスポーツ報道が抱える問題として「野球至上主義」とでも言える物があると常々考えているのだけれども、その文脈に都合のいいのは「エース」や「司令塔」という冠の付いた「スター」という存在である。専門誌以外のマスコミは常にスターの動きや発言のみを追って全体の流れを追うことがないのが問題だと思う。本書ではフォーメーションによってスターを生かしも殺しも出来る現実が描かれているためタイトルどおり「戦術から理解する」とシステムを駆使することで局面を打破できることを証明している。
そうしてサイドでの数的優位を作り出して攻撃し、スター個人で自体を打破する能力を殺すことが現在の日本代表が更に上に行くための一つの方法論なのは納得できた。しかしそれを熟知してその方向へ舵を切っていたイビッツァ・オシム監督が病に倒れたことは今後の日本サッカーにとって本当に大きな影を落としたということを改めて実感することにもなったのは複雑な気分である。
4-2-3-1―サッカーを戦術から理解する (光文社新書 343)
(9/5追記)
日経トレンディネットのインタビュー記事
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