銀色ふわり(有沢まみず)
雪が降りそうな冬のある日。雑踏の中で、僕らはすれ違った。銀色の髪の、きれいな女の子。なぜか、目が合った僕のことを驚いた顔で見つめていて……なにも 起こるはずはないと思ったのに、それは始まった。 僕は見知らぬ男女に連れられてその少女と再会する。デジタルツールを使わなければ誰からも知覚されず、 誰のことも知覚できない“黄昏の子供たち”と呼ばれる特異な子供たち。少女は新たな進化のカギを秘めたその“黄昏の子供たち”の一人だった。
互いに孤独を秘めた少年と少女が出会う、切なく温かい物語。
「いぬかみっ!」「ラッキーチャンス」とスラップスティックなコメディで人気を博した作者が久々に「切ない」話を書いてくれました。「インフィニティ・ゼロ」の頃からのファンとして楽しみにしていたのがこの作品です。
銀色ふわり (電撃文庫 あ 13-23)
透き通った銀色に染まる世界と、あやふやで儚い存在。現世と隠世をつなぐ瞳の持ち主である主人公は、と書いてみると伝奇風味にも見えるけど、実際には脳と認識を扱ったSF風味です。ただし科学的に説得力を持たせようとしていることは忘れて「Science Fantasy」として楽しむのがイイのかな。
家庭的に孤独な少年は、それでもまだ学校の友人がいたりして世界とのつながりは普通に保っているけれど、少女の孤独は少年以外の全ての生物と断絶した絶対の孤独。それでも孤独の意味とその癒し方を知ったときに、自分だけが少女と世界の架け橋になれる事を自覚した少年は初めて世界と向き合い抗うことを決断します。少年が取った行動は先が見えている絶望的なルートへ一歩を踏み出すだけかも知れなけれど、それでも希望がつかめるかもしれないと思わせるものがあります。
透明感溢れる切なくて儚いこの雰囲気を感じられるだけでも「買い」でした。次巻は冷たい冬の空気に合わせた頃かな?
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