
先週のことですが、大分県日田市の山間にある陶芸の里小鹿田(おんた)の民陶祭を見てきました。小鹿田焼は近隣の福岡県東峰村の小石原焼と並んで大正時代に柳宗悦が唱えた民芸運動によって再評価された日用雑器を中心とした焼物で、江戸時代から続く窯元の一族が長子相伝で当時と同様の伝統的な技法を現在に伝えていることから重要無形文化財にも指定されています。その特徴は小石原焼と同様に飛び鉋、刷毛目、櫛描きなどの道具を用いて刻まれた幾何学的紋様にあり、釉薬の使い方には打ち掛け、流し掛けなどといった技法が用いられています。僕自身も小石原焼の厚手で手に馴染む形の飯茶碗や湯飲みを愛用しているので春・秋の陶芸祭は出来るだけ見に来るようにしています。
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民陶祭期間中は車の往来が著しく多くなるために交通規制が敷かれていました。そのため敢えて裏道から回り込んだのですが駐車場にも近くて正解でした(大変な思いはしましたが) 里を流れる大浦川の上流から下流へ流れに沿って歩いていく形になって、まず最初に目に入ったのが「唐臼(からうす)」です。これは焼物を作るための陶土をきめ細かく砕くために水流を竿の枡に溜め、一定の重さが加わると水が流れ出てその反動で竿の反対側の杵が振り下ろされ臼の中の陶土を搗く仕組みになっています。渓流のせせらぎの音と、杵が動く時の木のこすれるギィーッというゆったりした音、臼の中の土を砕くゴトンという音が織り成すハーモニーは環境省の「残したい日本の音風景百選」にも選ばれています。

渓流に沿って歩いているとアケビが熟しているのを発見。残念ながら手の届くところではなかったです。

登り窯の脇にホトトギスが生けてありました。上には陶片を連ねた風鈴があります。たぶん涼やかというよりは低めの温か目の音がするのでしょうね。

唐臼で細かくした陶土を水に晒して更に細かくより分けたものを熟成中。


小鹿田焼の壷にアケビのつるで取っ手をつけた籠を花器にして、コスモスとアケビが生けてありました。山間の陶芸の里らしい鄙びて奥ゆかしい味わいがあります。登り窯の煙突の手前には百日草が咲いていました。

土と木と煉瓦で作られた登り窯。

棚には未完成の作品も残っていました。


金木犀の大木が満開でした。根元には用水池があり鯉が泳いでいます。

歩いていると引き寄せられるぐらいに香り高く咲いていました。

窯元の庭先には大皿や壷を並べて飾ってありました。色といい形といい野晒しにしておくのがもったいないくらいですが、これは民陶祭用のディスプレイなのでしょうか?

登り窯の裏には畑がありました。本当に日常と密接なんですね。小鹿田焼は農作業の合間に作っていた普段使いの器ですが、それだけに毎日使っても飽きの来ない優れたデザインに昇華されていることを実感しました。春・秋に民陶祭が行われるのですが、器だけでなくこの里をとりまく環境自体が訪れる価値のあるものなので次の機会にもまた訪れたいものです。
おまけ


自宅で毎日使っている飯茶碗と湯のみ。縁の緑釉と飛び鉋模様が小石原焼(≒小鹿田焼)の特徴を良く表しています。口に当たるところが滑らかで肉厚なのでとても心地よいです。
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